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2 フランスの爆撃機

　一九三〇年代半ばのフランスの軍用航空界は、イギリスに比べて、さらに悪い状態にあった。
　開戦時、フランス軍飛行中隊の多くには、アミオ143やブロッシュ210のような旧式の爆撃機が配備されていた。
　前者は、敵占領地の爆撃を数回行なっただけであり、後者は、スペイン内乱で共和政府軍によって使用されたが、一九四〇年には、ドイツ爆撃機より時速が一六〇キロも遅くなっていた。
　フランスの再軍備計画は、一九四二年までにまだ完了しておらず、多くの新型機が配備される以前に、フランスは降伏していた。
　しかもその新型機でさえ、装備が不十分で、エンジンにも重大な問題があった。
　これは、政府の無能力と、一九三〇年代半ばのドイツの脅威を、重大に受けとめなかった当然の結果であった。


LE0 451　レオ451
●全備重量：12,000kg　全幅：22.53m　全長：17.17m
エンジン：ノーム・ローン14N20　21、1,000馬力2
武装：20m機関砲U7.5mm機銃4　乗員：4　最高速度：500km/h（高度5,500m）
実用上昇限度：8,200m　航続距離い,670km　爆弾搭載量：1,400kg
　1939年9月ごろのフランス空軍唯一の本格的新型爆撃機は、試験飛行中隊に配備されていた
レオ451である。この機がその能力を十分に発揮するには、登場が遅すぎた。
結局、レオ451の多くは後にドイツ空軍とビシー政府によって使用された。

BREGUET 693-AB2　ブレゲー693AB2
●全備重量：4,800kg　全幅：15.37m　全長：10.24m　エンジン：ノーム・ローン700馬力2
武装：20mm機関砲17.5mm機銃4　乗員：3　速度：490kmjh（高度5,000m）
実用上昇限度：8,500m　航続距離：1,350km　爆弾搭載量：400kg
　1930年代後半、政治的決断を欠くことによって、このフランス攻撃
爆撃機の開発は遅れだが、ドイツ軍の侵入には間に合って任務を十分に果した，

1 活躍前に敗戦 top

　フランス爆撃機の開発は、停戦後はなされなかったものの、新型双発機のあるものは、開戦の最初の数ヵ月使用され、残りは、枢軸国によって引き続き使用された。
　その中の一つが、ブレゲー690のシリーズで、一九三八年に、複座の奇襲軽爆撃機として生産に移された。
　シリーズの一つ693型は、一九四〇年五月、ドイツ軍塹壕に対する低空攻撃に使用され、のちに、同様の目的でイタリア空軍に多く使われた。
　もう一つの型は、リオレ・エ・オリビエ451で、優れた爆撃機になるはずであったが、開発するのが遅すぎた。
　原型機は、一九三七年早々、水平飛行で毎時五〇〇キロの高速を達成したが、エンジンに信頼がおけず、出力が不足するという難点があった。


POTEZ 63-Ⅱ　ポテ63-2
●全備重量：4,100kg　全幅：16m　全長：10.93m
エンジン：ノーム・ローンGR14M3/M4、670馬力2
武装：7.5mm機銃3　最高速度：493km/h（高度4,000m）
実用上昇限度：8,500m　航続距離：1,500km　爆弾搭載量：550kg
　ポテ630昼夜間戦闘機の軽爆撃・偵察機型である。
　一九四〇年五月のドイツ軍侵入以前に配備された数機は、のちに、ドイツ空軍輸送機として使用された。
　ポテ630シリーズは、エンジンの故障のみならず、プロペラも不足していたので、ドイツ軍の攻撃を受けた時、離陸することができなかった。
　しかし、ギリシャ、ルーマニアおよび日本を含む他の諸国は、この型の機を購入し、大きな成果をあげている。
　ドイツが生産を引き継いだ爆撃機は、ブロッシュ174の改良型175であったが、爆弾搭載量に限界があったので、偵察任務に使用された。
　のちに、扇型のエンジン・プロペラ覆いの部分が、大型のメッサーシュミットＭe323輸送機に使用されることになった。
　最後に、一九四○年初期、フランス空軍に配備されたアミオ350シリーズがある。
　この型の機は、火器が不十分だったので作戦の使用に支障をきたし、多くはドイツ人の手に渡らないように破壊された。
BLOCH 174 A3　ブロッシュ174 A3
●全備重量：7,143kg　全幅：17.92m　全長：12､23m
エンジン：ノーム・ローン1,140馬力2　武装：7.5M機銃7　乗員：3
最高速度：530km/h（高度5,200m）実用上昇限度：9,200m
航続距離：1,650km　爆弾搭載量：680kg
　このフランスの1938年型は、その爆弾搭数量の限界のため偵察用に変更されたが、後に発展型が、ブロッシュ175になった。
フランスが降伏する以前には、ほとんど活躍しなかったが、ドイツは、1942年まで生産を続行した。
フランス海軍は1953年まで、雷撃機として使用した。


JUNKERS Ju86K ユンカースJu86K
●全備重量：8,200kg　全幅：22.50m　全長：17,60m
エンジン：スウェーデンで組み立てられたブリストル「マーキュリー」2
武装：7.9mm機銃3　乗員：5　速度：325km/h（高度3,000m）
実用上昇限度：6,800m　航続距離：2,000km　爆弾搭載量：1,000kg
このスウェーデンのマークをつけたJu86は、スペイン内乱中に、爆撃機としての欠陥が明らかとなり、
改良したが爆撃機としては不十分で、戦争の初期、ドイツ空軍の偵察機として主に使用された。

CAO 700　カオ700
●全備重量：18,080kg　全幅：28､87m　全長：18.74m
エンジン：ノーム・ローン14N、14気筒空冷星型140馬力4
武装：7.5mm機銃(機首1、腹部下面2)、20m動力作動背部旋回機銃座機関砲1
乗員：5　最高速度：530km/h(高度5,200m)
　試験飛行が遅れたまま、1940年6月のフランスの停戦を迎え、
結局試験飛行はとりやめになり、開発は中止された。

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