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4 イタリアの爆撃機

　イタリアが参戦した一九四〇年には、多くの高翼中型爆撃機、カプロニＣa133が、依然としてイタリア空軍に配備されていた。
　この機は、爆撃任務を遂行するには旧式すぎたが、戦時中はずっと輸送機として、目ざましい貢献をした。

1 イギリス本土爆撃 top

　これより高速の中翼中型爆撃機Ｃa135は、初飛行が一九三五年で、多くの改良がほどこされたが、他のイタリアの航空機メーカーの爆撃機が採用されたので、配備に至らなかった。
　しかし、このＣa135の方が、Ｃa309から314シリーズの爆撃機よりも優れていたかもしれない。
　後者は、戦争初期の数年間使われ、翼の位置をあれこれ試みたあげく、低翼を採用していた。
　当時のドイツやイギリスの爆撃機に最も近いイタリアの爆撃機は、フィアットＢＲ20「チコーニャ」（コウノトリ）で、エチオピアとスペインで用いられた。
　この機は、ドイツ軍がベルギーの基地からイギリスを攻撃した際、作戦に参加した唯一のイタリア爆撃機で、その後一九四一年にも、イタリアがギリシャを侵略するのに使用された。
　防御用火器の増強を含めて多くの改良がほどこされ、イタリアが降伏する以前には、大量生産の計画もあった。
　カブロニやフィアットは、双発であったが、三発爆撃機もいく種類か生産され、実戦に参加している。
　一九三九年に配備され九ＣＲＤＡ・カント・Ｚ1007「ビス・アルチオーネ」（カワセミ）は、ほとんど木製であったが、地中海やエーゲ海を舞台に活躍するとともに、北アフリカやソ連で経験した極端な気候条件にも、十分もちこたえることができた。

2 三発式「スパルビエロ」 top 　最優秀のイタリア爆撃機で、しかも第二次世界大戦における全ての陸上爆撃機の中で最も優れたものの一つは、明らかに、三発のサボイア・マルケッティＳＭ79「スパルビエロ」（鷹）であった。 　この機もほとんど木製で、一九三七年に配備されたが、それは、ＳＭ81「ピピストレッロ」（コウモリ）の二年後のことである。 　ＳＭ81は、エチオピアで使用され、一九四〇年以降は、さらに広域で用いられた。 　しかし、この機は比較的速度がおそく、終戦間際には平凡な任務に移された。 　ＳＭ79は、ＳＭ81よりも高速で、一九三〇年代後半に、八人乗り定期旅客機から発展した。

SAVOIA-MARCHETTI SM79＝サボイア・マルケッティSM79 ●全備重量：10,500kg　全幅：21.21m　全長：15.80m エンジン：アルファ・ロメオ750馬力3　武装：7．7M機銃3、12.7m機銃1 乗員：5　速度：430km/h（高度4,000m）実用上昇限度：6,500m 航続距離：1,900km　爆弾搭載量：1,250kg 　最も優れたイタリア爆撃機というだけでなく、第二次世界大戦中使用された最も優れた陸上爆撃機のIつであった。 　1936年に営業用定期旅客機をベースにして開発したもので、後にイタリア空軍の関係するすべての戦場で活動した。

　その旅客機のすんなりした機体は、一二・七ミリ・ブレダＳＡＦＡＴ機関銃を装備したために背部にこぶができ、美観がいくぶん損なわれてしまった。
　ＳＭ79は戦争中、地中海沿岸、北アフリカ、バルカン諸国など全前線で活躍し、その相当数が、一九五二年まで、輸送機あるいは練習機として貢献を続けた。
　戦争中、イタリアで生産された唯一の四発重爆撃機は、ピアッジオＰ108Ｂで、一九四二年、初めてジブラルタル爆撃作戦に使用された。
　この機の最大爆弾搭裁量は三五〇〇キロ、八挺の一二・七ミリ防御用火器が有名であった。
　機首と腹部の旋回銃座と中央部側面の砲塔に、それぞれ一対の機関銃、また遠隔操作の一対の機関銃が、外側のエンジン・ナセルの後方上部のカウリングに、それぞれ配置されていた。