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植物の生態
（本田正次著　偕成社図説文庫10『植物の世界』の改訂版　1962年刊）

　　　　　　　　著者のことば　top

　植物は、私たちにとって一番身近かなものであります。
　一般にひっくるめて、衣食住ということをいいますが、このうちのどれ一つとして、植物でないものはありません。
　私たちが、ただ空気を吸って生きているということだけでも、値物の出す酸素に関運のあることを思えば、私たちは、植物とまったく呼吸を合わせて生活をしているといっても、いい過ぎではないのです。
　美しい緑やきれいな花を見て、心を楽しくすることのできるのも、植物がこの世の中に、私たちと一緒に生活をしていればこそです。
　それに植物は、一部の目に見えない、病気のもとになるバクテリアなどをのぞいたほかは、どれもこれも、みな私たちの近づきやすいものばかりです。
　みな美しい緑やきれいな花で、仏たちをよろこびむかえているのです。
　私たちはもっともっと植物に近づいて、植物となかのよい友だちとなりましょう。
　皆さんは、よく学校の休みなどに植物採集をやるでしょう。
　これは、とりもなおさず、植物と近づきになることです。
　植物と近づきになるということは、言葉をかえていえば、植物のことを何でもかでもよく知るということです。
　皆さんが友だち同士ででよく勉強し、なかよく遊んだりして楽しいのは、その友だちのことをよく知っているからです。
　知らない人と遊ぶことは、ちっともおもしろいことではありません。
　皆さんは、皆さんの一番身近にある植物とまず友だちになってください。
　庭木でも、学校の木でも、また学校へ行く途中に生えている地ぱたの草でも、すべて皆さんと友だちになることを待っているのです。
　そして、植物に近づきになる一番早道は、それらの草木の名前を覚えることですから、皆さんの先生やお母さんや兄さんや友だちに聞いて、早く名前を覚えましょう。
　名前を知らないうちは、どうも親しい友だちにはなれないものです。
　これは人間同士でも同じことで、名前を知らない人と親しくなれないのは当然のことです。
　著名は、少年のころから植物が大好きで何でもかでも手当りしたい先生から名前を聞いて植物と友だちになりました。
　皆さんもぜひ友だちになってください。
　なおこの本を書くために、佐竹義輔、清水伝吉、武田久吉、原田市太郎、古沢潔失、水野耕一の諸先生をはじめ多数の方々のお世話になりました。　ここで厚くお礼を申しあけます。

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　世界の国々は、多い少いはありますが、大抵、花言葉というものを持っています。
　花言葉は、人間の心の思いを、花をつうじて通わせるもので、筆や紙に表わせない心の思いを、花にかわってもらって表わすわけです。
　それで、花の特徴や、色や、香りなどからつけたり、または、伝説によったりしたもので、同じ花でもいろいろと違った意味もありますし、国によりところによってその意味がまるでちがったりしています。
　もちろん、科学的のものではなく、一種の遊戯ぐらいに思ったらよいでしょう。
　次にその代表的な花言葉を記しました。アイウエオ順にならべてあります。