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世界一の新幹線
（少年の科学　仁杉巌／石川光男著　鹿島出版会　1968年刊）

　あとがき　　石川光男 top

　おとなの方々へ

　「現代は飛行機と自動車の時代で、鉄道はもう消えていく過去の交通機関だ。」
　世界中の人がそう考えていたところへ、日本が“新幹線”というすばらしい鉄道をつくり、しかも技術的に経営的に、大成功したものですから、そのおどろきは大変なものでした。
　「もういちど鉄道を見なおす必要がある。」
　それが世界の合い言葉となり、おもな文明国はどこも高速鉄道の開発ととりくみだして、現在、研究進渉のニュースが、ぞくぞく新聞に出るようになりました。
　ジェッ卜をつけて走らせようとするもの、ガス・タービンをつけて走らせようとするもの、全く新しい方法によって走らせようとするもの、いろいろです。
　スピードも日本の新幹線を上まわろうとねらっています。
　新幹線――それは日本の交通事情から生まれるべくして生まれたものとはいえ、わが鉄道技術陣の水準の高さをあますところなく示した画期的な産物でした。
　この本はこの輝かしい新幹線の計画から実現までを、主として科学技術の面から、ひとわたり描いたものです。
　電車ですから当然、基本的な電気の科学をもっと掘りさげるべきでしたが、電気のことだけ書いてもゆうに一册分書くことがありますし、また新幹線は説明しなければならないことがいっぱいあって、まとめるのに骨を折ったほどでしたので、この本では電気のことは省略しました。
　そのかわり鉄道全般の技術、土木建設技術のことを、立体的総合的にかなりくわしく書きこんだつもりです。
　その点ではユニークな本になったものと思います。
　執筆は、国鉄常務理事仁杉巌氏の指導下で、石川光男が担当しましたが、ほかに下記の方々からいろいろお教えいただき、また次の本からだいぶ勉強させていただきました。
　記して感謝申しあげます。
　国鉄鉄道技術研究所長松平精氏、国鉄本社技師長室補佐西田博氏、国鉄本社広報部、国鉄東海道新幹線支社総務部文書課吉村正巳氏。
　「東海道新幹線」（角田良平著・中央公論社）「東海道新幹線」（ダイヤモンド社・加藤一郎編）「高速鉄道の研究」（鉄道技術研究所監修・研友社）「新幹線用地屋奮戦記」（佐村芳之著・東京書房）「夢の超特急」（市川潔著・あかね書房）

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