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地下鉄とモノレール
（八十島義之助／横谷輝著　少年の科学　鹿島出版　1943年刊）

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あとがき　　　横谷　輝 top

　大人の方々へ

　現代の日本において、もっとも大きな焦点になっているものの一つに、都市問題があります。
　そのなかでも、私たちにとって身近かで切実な問題は交通事故です。
　都市の人口がふえ、それにともなう交通機関の発達につれて、交通事故が増加するのは世界的な現象であるといわれていますが、だからといって毎日のように報道される交通事故の暗いニュースに、無関心でいることはできないのです。
　この本を書きながら、私はどこに投げつけていいのかわからない怒りが、自然とこみあげてくるのをどうすることもできませんでした。
　そしてこの本を書くことによって、今までなんとなく他人事のように受止めていた交通事故の痛ましさやみじめさが、少しは自分の肌に感じとれるようになった気がしています。
　人間生活の進歩をもたらすはずの交通機関が、人間の生命を逆におびやかす凶器になるということほど、バカげた矛盾はありません。
　なんとしてもこの矛盾を一日も早く解消しなければならないのです。
　この本では、その解決の方法の一つとして、地下鉄とモノレールを取上げました。
　ここでは地下鉄、モノレールの知識を子供たちに伝達することはもちろんですが、これからの都市交通のあり方という大きな観点からも追求しようと試みました。
　執筆にあたっては、帝都高速度交通営団、日立運輸モノレール株式会社の方々のご協力を得ました。
　また、早稲田大学教授今野源八郎氏、および国鉄監査委員会委員角本良平氏の著書を参考にしました。
　深く感謝いたします。
　なお執筆は東大教授八十島義之助氏の指導によって、横谷輝が担当しました。