|
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
明治維新 明治憲法 伊藤博文 山県・伊藤 山県有朋 松方正義 板垣・大隈 山本権兵衛 明治大正の内閣
日清戦争 日露戦争 韓国併合 日清日露と鉄道 安重根 閔妃暗殺 安達謙造 台湾接収 サハリン HOME
日清・日露戦争と鉄道
（中川浩一 鉄道ピクトリアル1975/1～1975/12 8回連載）
解説 ＨＰ管理者 日本はアメリカのペルー提督のひきいる黒船の到来に驚き、諸藩が騒ぎ出し、明治維新になったことは学校の日本史で学びました。
ペルーは日本に開国を求めに来ただけなのに何故そんなに大騒ぎになったかと云うと、黒船には大砲が積まれており、場合によっては日本が攻撃される心配をしたからです。
当時の日本の武器は槍や刀と火縄銃程度だったので、海からの大砲攻撃には対抗する手段がなかったからです。
この体験から明治維新後、日本は積極的に陸海軍を増強して国力を強化していきました。
海軍は大砲を備えつけた軍艦に砲弾を積んでいますが、地上戦でも大砲を使うために、アメリカの南北戦争の頃から兵士と武器・弾薬の兵站輸送に鉄道が利用されるようになり、大砲を備えた装甲列車も造られました。
南北戦争ではこのように北軍が積極的に鉄道を利用したのに、南軍は昔ながらの馬だけだったので戦力と輸送力で北軍が勝利しました。
明治の初めに伊藤博文・大隈重信・井上勝などが日本の鉄道建設に貢献したことはよく知られていますが、日清戦争の頃には本州は青森から広島までの鉄道がつながりました。
青森－上野の日本鉄道、新橋－神戸の官設鉄道、神戸－広島の山陽鉄道、そして日本鉄道と官設鉄道を結ぶ赤羽－品川（山の手線）です。支線の広島－宇品港は突貫工事でした。
そして日清戦争が始まると大本営が広島に置かれ、広島の宇品港から大陸に多くの兵士と武器・弾薬が輸送されました。日露戦争でも宇品港が輸送基地となり日本の勝利に貢献しました。
大日本の帝国主義は広島の大本営で始まり、広島の原爆で終わったとも言われていますが、明治政府の欧米化政策で前述の青森－広島の鉄道網が出来たばかりだったから、広島に大本営が置かれたのです。
九州でも北海道でも鉄道網整備が進められました。
そもそも日露戦争が起こったのはロシアがシベリア鉄道に繋がる東清鉄道をウラジオストックまで、さらにハルピンで分岐して遼東半島の旅順（大連）まで完成させ、東洋に進出してきたからです。
日清戦争に勝って下関条約で確保した遼東半島を露・仏・独の三国干渉で返還させられたのは日本には屈辱でした。
そして臥薪嘗胆（がしんしょうたん）を国をあげて唱えて国力の強化をはかり、10年後に日露戦争に勝って遼東半島と東清鉄道の南半分の旅順－長春間を確保し、日本の国策会社南満州鉄道となりました。
今でこそ鉄道は戦争に無関係な平和産業と視（み）られていますが、19世紀から20世紀前半まで鉄道は国力・戦力を担う重要な富国強兵の産業で、明治政府が国内の鉄道網整備に努めたおかげで、日清・日露戦争に勝ち日本が世界の一流国にのし上がったのです。
日清戦争後、鉄道の国有化が行われ、鉄道局が鉄道省に昇格したのも、そんなことからだと考えられます。
しかしあまりにも急速な日本の進展は軍部の驕りともなり、その後は帝国主義・軍国主義となって、太平洋戦争で破綻しました。
太平洋戦争でも“戦場に架ける橋”の映画の舞台の泰麺鉄道の軍事鉄道があります。
戦況が悪化し海路でのビルマ（ミャンマー）への兵站輸送が困難になる中で、タイから陸路でビルマまで500kmの鉄道を、シンガポール陥落時のイギルス兵捕虜を使役して造られました。
これは過酷な環境の中での強制労働だったので多くのイギリス兵がなくなりました。
逆に敗戦後のソ連の日本兵捕虜は極寒の中でのシベリア鉄道の使役に従事させられました。
“戦争と鉄道”の筆者の中川浩一は戦時中に中野の鉄道大隊の踏切の傍で育った著名な鉄道フアンですが、その影響で戦争と鉄道の関係を詳細に調査し、編集委員をしていた鉄道ピクトリアル誌に連載しました。
その中の日本編の一覧を上表に掲げ、その内容を別ぺージに示しました。
さらに外国編の“戦争と鉄道”は同誌の1974/8-10、1976/8-1977/12に執筆されています。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
|
